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2023/12/28
大今里
エロイムエッサイムという言葉を聞いたことがありますか?漫画「悪魔くん」や「四月は君の嘘」で使われていた言葉です。また、ゲーム「FGO」や映画「魔界転生」にもエロイムエッサイムという言葉が登場しています。
エロイムエッサイムは、呪文やおまじないとして使われているようです。エロイムエッサイムとはどういう意味なのでしょうか。またエルサムエッサイムの由来、そしてそもそも何語なのかも気になりますよね。今回は、エロイムエッサイムについて調べてみました。
悪魔くん オープニング
1989年4月から1990年3月に放送されたアニメ「悪魔くん」は、CSで再放送されたりなどして一番「悪魔くん」シリーズの中で有名な作品です。2010年には20周年記念としてDVD「悪魔くん コンプリート BOX」が発売されています。
「悪魔くん」のオープニング曲の歌詞は、「エロイムエッサイムエロイムエッサイム さぁ!バランガバランガ呪文を唱えよう」ではじまります。物語の中でも、悪魔くんが魔法陣を組んでエロイムエッサイムと呪文を唱えるシーンが、一番ドキドキワクワクするシーンでした。
小説「魔界転生」は、1964年12月~1965年2月に大阪新聞で連載された山田風太郎さんの作品です。この小説は「月刊ヤングマガジン」で2012年9月号~2018年7月号まで連載された、「十 〜忍法魔界転生〜」の原作でもあります。
また、「魔界転生」は「FGO」(Fate/Grand Order)の「英霊剣豪七番勝負」や「装甲悪鬼村正」など現代のゲームに影響を与えています。「FGO」の元となったゲーム「Fate/stay night」の原作者である奈須きのこさんは、「Fate」シリーズはもともと「魔界転生」のオマージュであったと語っています。
小説「魔界転生」は1981年に千葉真一さんと沢田研二さん主演で映画化されました。この映画は島原の乱で殺された天草史郎時貞が、悪魔の力で蘇り「グリモワール」を習得して徳川幕府へ復讐するという物語です。そして、天草史郎時貞が魔界に人々を引き込むために使った呪文が、「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という言葉でした。
天草史郎時貞役を演じる沢田研二さんが、エロイムエッサイムと呪文を唱えるシーンは迫力満点!この映画は観客動員数200万人、配給収入10億5000万円という大ヒットとなりました。その後も3回にわたりリメイク映画がつくられ、Vシネマ、演劇、アニメなどさまざまな作品が発表されています。
「四月は君の嘘」の中で、ヴァイオリニストの宮園かをりが演奏前に必ず唱えていたのが「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という言葉です。この時の「エロイムエッサイム」は呪文というより、おまじないのような感覚で唱えていたようです。
https://moto-neta.com/anime/eloim-essaim/
エロイムエッサイムとは、中世期のヨーロッパで流行した「グリモワール」という魔術書にある言葉です。日本にこの言葉を持ち込んだのは、1961年の澁澤龍彦さんの本「黒魔術の手帖」だと言われています。この本では、「エロヒムよ エサイムよ わが呼び声を聞け」と紹介されています。
魔術書、悪魔、精霊、黒魔術というちょっとオカルトめいた世界に興味ある方ならご存知かもしれませんが、「グリモワール」という魔術書は既に12~13世紀には存在していたようです。悪魔や天使などを呼び出す魔術の手順が記されており、悪魔学や呪術の手引書としてフランスやドイツに広がっていきました。
エロイムエッサイムは、グリモワールのひとつである「赤い竜」が初出の呪文だとされています。「赤い竜」はグリモワールのなかの「大奥義書」の異本です。この書のなかで、「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という呪文を唱えながら、黒い雌鶏を使って悪魔を召喚すると紹介されています。
グリモワールはフランス語で魔術の書物を意味する言葉ですが、エロイムエッサイムはフランス語ではありません。何語でもなく、エロイムとエッサイムという2つの言葉の由来もそれぞれ異なっています。
エロイムエッサイムという言葉の由来を調べてみると諸説あります。
①ヘブライ語の「ヘロヒームイッシーム」が訛ったと言われる説。
②ゲーテの作品「ファウスト」でファウスト博士が唱えたラテン語の呪文だという説。
③ヘブライ語のエロイムと、フランス語のエッサイムを組み合わせた言葉だという説。
このなかで最も有力だと言われているのが、エルサムとエッサイムは別の言葉であるという③の説です。
エロイムエッサイムの原文は「Eloim Essaim」です。Eloimの中のElはヘブライ語で「神」という意味であり、語尾に複数形を表すimがついています。キリスト教においてEloimとは、父、子、聖霊の三位一体の神を表します。
また、Essaimはフランス語では「群れ」という意味になります。他にヘブライ語における「悪魔」、「古代イスラエル王ダビデの父を表す言葉」とも解釈されます。エロイムエッサイムという言葉は、大いなる存在である神や悪魔に呼びかける意味で作られた表現だと思われます。
「グリモワール」は中世ヨーロッパで流行した書物ですが、ルーツをたどると12世紀から13世紀にかけてイベリア半島やシチリア半島でラテン語に翻訳されたアラビア語の魔術書が元になっているようです。
この時代は中世アラビアの魔術書以外にも、自然魔術を扱った書や中世ユダヤ魔術書が次々とラテン語に翻訳されました。そして、それらを読んだヨーロッパのキリスト教徒がさらに新しい魔術書を発表し、聖職者や学者達の間に広がっていきました。
魔女狩りの時代に失われたものも多くありましたが、16世紀頃から医師や軍人などのインテリ層に、そして17世紀以降はフランスやドイツで民衆が読む一般本として浸透していきました。
「四月は君の嘘」は中学生の恋愛を描いた新川直司さんの漫画です。2011年から2015年まで「月刊少年マガジン」で連載され、後にアニメ化、映画化されました。14歳の天才ピアニスト少年有馬公正と、同い年のヴァイオリニスト宮園かをりとの出会い、そして2人の切ないラブストーリーが若者だけでなく大人にも感動をよびおこしました。
エロイムエッサイムとは悪魔を召喚する呪文として使われる言葉ですが、「四月は君の嘘」で宮園かをりが「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」と唱えたのは、また違った意味であったようです。
ネットでは「神や観客に自分の音楽を聴いてもらうためのおまじない」という説が主な説です。自分の演奏前に、「神様、お願い。私の演奏を聴いてください」というような気持ちで唱えたのだと考えられています。
でも、もしかしたら宮園かをりが本当に悪魔を召喚しようとしてた可能性もありますよね!?あるいは、自分の音楽を悪魔に例えていたのかもしれません。
もちろん、そんなことはないと思います。だって、もしそうだとしたら、宮園かをりがヴァイオリンを演奏する前に悪魔を呼んでいるということになってしまいます!そう考えると物語がまた違った意味になってしまいますね。
「四月は君の嘘」とよく比較されるのが「いちご同盟」という作品です。「いちご同盟」は「四月は君の嘘」が発表される20年以上前、1990年に三田誠広さんが発表した青春小説です。
「いちご」とは「苺」ではなく「一五」であり、15歳の少年少女たちを主人公にした物語です。1997年には映画化もされています。
名作小説「いちご同盟」のあらすじを簡単に紹介します。
・主人公はピアノを習っている中学3年生の北沢良一。
・普段から自殺を考えていた良一は、重病を患っている上原直美と出会う。
・病におかされながらも生きようとする直美との出会いにより、良一の人生観にも変化がおこっていく。
「四月は君の嘘」も中学生の少年少女が中心の物語であり、主人公がピアノをやっている少年で、余命いくばくもない少女と出逢う…という設定が似ていますよね。しかも、「四月は君の嘘」には「いちご同盟」と同じ「あたしと心中しない?」などのセリフが引用されています。
「四月は君の嘘」には数々の名言が出てきます。その中には、あの有名なアメリカの漫画「Peanuts(スヌーピー)」のセリフの引用も登場します。
宮園かをりは、2年ぶりにコンクールに出場する公生が「やっぱりコンクールはやめよう」と尻込みするのに対し、「海図にない海を帆走するには勇気がいるのよ」というスヌーピーの名言で励まします。また、公生が落ち込んでいる時は、「気が滅入っている時は頬杖をつくといい。腕は役に立つのが嬉しいんだ」というチャーリーブラウンの言葉を引用し、自分の手のひらと公生の手のひらを合わせて力づけます。
「エロイムエッサイム」という言葉が登場するのも特に深い意味はなく、「悪魔くん」のオマージュである可能性が高いのではないのでしょうか。
今回は、「エルサムエッサイム」という言葉についてご紹介しました。「エルサムエッサイム」とは、中世ヨーロッパで流行した魔術書「グリモワール」に書かれていた言葉であり、1961年に澁澤龍彦さんの本「黒魔術の手帖」で紹介されました。そして、1963年に水木しげるさんが漫画「悪魔くん」で悪魔を召喚する呪文として使用、さらには1981年の映画「魔界転生」でも魔界へ人々を引き込むための呪文として登場しました。
2000年代に入り、「四月は君の嘘」では、神に呼びかけるおまじないとして使われるなど意味合いは変わりましたが、エルサムエッサイムという言葉は今も残っています。やはり、それほど人々を惹きつける何かがこの言葉に含まれているのでしょう。
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「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの水木しげるさんが1963年に描いた漫画「悪魔くん」は、悪魔の力を使って世の中を平和にしようという、天才児の悪魔くんが主人公の物語です。
「悪魔くん」は当時の子どもたちに大ウケし、1966年から特撮ドラマとしてTVで放送されます。さらに、1989年にはアニメ版も放映されました。そして悪魔くんが、妖怪や怪物を含めた悪魔を呼び出すために唱えたのが、エロイムエッサイムという呪文です。